尊貴光栄なる預言者前駆授洗イオアンの斬首祭(斎の日)
マトフェイ57端;14:1-13
1 当時分封の君イロド、イイススの声名を聞きて、
2 其侍臣に謂へり、此れ授洗イオアンなり、彼死より復活せり、故に彼に由りて異能は行はる。
3 蓋イロドは其兄弟フィリップの妻イロデアダの故に因りて、イオアンを執へ、之を縛りて、獄に入れたり。
4 蓋イオアン彼に謂へり、爾此の婦を納るるは宜しからずと。
5 且之を殺さんと欲したれども、民を懼れたり、其之を預言者と為しし故なり。
6 適イロドの誕生日に値り、イロデアダの女席上に舞ひて、イロドの喜を獲たり。
7 故に彼誓ひて、其求むる所に随ひて、之を与へんことを約せり。
8 女母の嘱に因りて曰へり、授洗イオアンの首を盤に盛りて、此に我に与へよ。
9 王憂ひたれども、誓の為、又共に席坐する者の為の故に、之を与へんことを命ぜり。
10 乃人を遣してイオアンを獄に斬り、
11 其首を盤に盛り、攜へ来りて女に与へたれば、女之を其母に攜へたり。
12 彼の門徒来りて其屍を取りて、之を葬り、且往きてイイススに告げたり。
13 イイスス聞きて舟に乗り、彼処を離れて、独野の処に往けり、民之を聞きて、諸邑より歩みて彼に従へり。
口語
14:1そのころ、領主ヘロデはイエスのうわさを聞いて、
14:2家来に言った、「あれはバプテスマのヨハネだ。死人の中からよみがえったのだ。それで、あのような力が彼のうちに働いているのだ」。
14:3というのは、ヘロデは先に、自分の兄弟ピリポの妻ヘロデヤのことで、ヨハネを捕えて縛り、獄に入れていた。
14:4すなわち、ヨハネはヘロデに、「その女をめとるのは、よろしくない」と言ったからである。
14:5そこでヘロデはヨハネを殺そうと思ったが、群衆を恐れた。彼らがヨハネを預言者と認めていたからである。
14:6さてヘロデの誕生日の祝に、ヘロデヤの娘がその席上で舞をまい、ヘロデを喜ばせたので、
14:7彼女の願うものは、なんでも与えようと、彼は誓って約束までした。
14:8すると彼女は母にそそのかされて、「バプテスマのヨハネの首を盆に載せて、ここに持ってきていただきとうございます」と言った。
14:9王は困ったが、いったん誓ったのと、また列座の人たちの手前、それを与えるように命じ、
14:10人をつかわして、獄中でヨハネの首を切らせた。
14:11その首は盆に載せて運ばれ、少女にわたされ、少女はそれを母のところに持って行った。
14:12それから、ヨハネの弟子たちがきて、死体を引き取って葬った。そして、イエスのところに行って報告した。
14:13イエスはこのことを聞くと、舟に乗ってそこを去り、自分ひとりで寂しい所へ行かれた。しかし、群衆はそれと聞いて、町々から徒歩であとを追ってきた。