主日早課:(5)ルカ113端;24:12-35
12彼の時、ペトル起ちて、墓に趨り往き、俯して、惟裏布の置けるを見、其成りし事を心に異みて帰れり。
13 是の日其中に二人、イエルサリムを去ること約六十小里なるエムマウスと名づくる村に往きしが、
14 互に凡そ彼等の有りし事を語れり。
15 語り且論ずる時、イイスス親ら近づきて、彼等と偕に行けり。
16 然れども二人の目は抳められて、彼を識らざるを致せり。
17 彼曰へり、爾等は行きて何事をか互に論じ、又何ぞ憂ふる色ある。
18 其一人、クレヲパと名づくる者、彼に対へて曰へり、イエルサリムに来りし者の中、爾独近日其中に成りし事を知らざるか。
19 問ひて曰へり、何の事ぞ。彼等曰へり、イイスス ナゾレイ、即神及び衆民の前に行と言とに能力ある預言者たりし者に在りし事、
20 如何に我等の司祭諸長及び有司等が彼を解して、死に定め、十字架に釘せし事なり。
21 我等嘗て此の人はイズライリを贖ふ者なりと望めり、然れども此れ皆成りしより今已に第三日なり。
22 然るに又我等の中の或婦等は我等を驚かせり、彼等朝早く墓に在りしが、
23 其屍を見ずして、来りて、天使等の現れて、彼は生くと言ふを見しことを語げたり。
24 我等の中の数人は墓に適きしに、果して、婦の言ひし如き事を見たり、惟彼を見ざりき。
25 イイスス彼等に謂へり、噫無知にして、凡そ諸預言者の言ひし事を信ずるに心の遅き者よ、
26 ハリストスは此くの如く苦を受けて、其光栄に入るべかりしに非ずや。
27 是に於てモイセイより始めて、諸預言者に及ぶまで、凡そ聖書に彼を指して載することを彼等に説き明せり。
28 往く所の村に近づきしに、彼は尚遠くに行かんとする者の若し。
29 二人彼を留めて曰へり、我等と偕に止れ、蓋時暮れんとし、日已に昃けり。彼入りて、偕に止れり。
30 席坐せる時、彼餅を取りて、祝福し、擘きて彼等に与へたり。
31 其時二人目啓けて、彼を識れり、而して彼忽に見えずなりき。
32 彼等互に言へり、途中彼が我等と語り、且我等に聖書を解き明しし時、我等の心我が衷に燃えしに非ずや。
33 即時に起ちて、イエルサリムに帰り、十一門徒及び之と偕に聚れる者に遇へり。
34 僉言ふ、主は実に復活せり、而してシモンに現れたり。
35 二人も亦途中に在りし事、及び如何に其餅を擘く時彼等に識られし事を述べたり。
口語
24:12ペテロは立って墓へ走って行き、かがんで中を見ると、亜麻布だけがそこにあったので、事の次第を不思議に思いながら帰って行った。
24:13この日、ふたりの弟子が、エルサレムから七マイルばかり離れたエマオという村へ行きながら、
24:14このいっさいの出来事について互に語り合っていた。
24:15語り合い論じ合っていると、イエスご自身が近づいてきて、彼らと一緒に歩いて行かれた。
24:16しかし、彼らの目がさえぎられて、イエスを認めることができなかった。
24:17イエスは彼らに言われた、「歩きながら互に語り合っているその話は、なんのことなのか」。彼らは悲しそうな顔をして立ちどまった。
24:18そのひとりのクレオパという者が、答えて言った、「あなたはエルサレムに泊まっていながら、あなただけが、この都でこのごろ起ったことをご存じないのですか」。
24:19「それは、どんなことか」と言われると、彼らは言った、「ナザレのイエスのことです。あのかたは、神とすべての民衆との前で、わざにも言葉にも力ある預言者でしたが、
24:20祭司長たちや役人たちが、死刑に処するために引き渡し、十字架につけたのです。
24:21わたしたちは、イスラエルを救うのはこの人であろうと、望みをかけていました。しかもその上に、この事が起ってから、きょうが三日目なのです。
24:22ところが、わたしたちの仲間である数人の女が、わたしたちを驚かせました。というのは、彼らが朝早く墓に行きますと、
24:23イエスのからだが見当らないので、帰ってきましたが、そのとき御使が現れて、『イエスは生きておられる』と告げたと申すのです。
24:24それで、わたしたちの仲間が数人、墓に行って見ますと、果して女たちが言ったとおりで、イエスは見当りませんでした」。
24:25そこでイエスが言われた、「ああ、愚かで心のにぶいため、預言者たちが説いたすべての事を信じられない者たちよ。
24:26キリストは必ず、これらの苦難を受けて、その栄光に入るはずではなかったのか」。
24:27こう言って、モーセやすべての預言者からはじめて、聖書全体にわたり、ご自身についてしるしてある事どもを、説きあかされた。
24:28それから、彼らは行こうとしていた村に近づいたが、イエスがなお先へ進み行かれる様子であった。
24:29そこで、しいて引き止めて言った、「わたしたちと一緒にお泊まり下さい。もう夕暮になっており、日もはや傾いています」。イエスは、彼らと共に泊まるために、家にはいられた。
24:30一緒に食卓につかれたとき、パンを取り、祝福してさき、彼らに渡しておられるうちに、
24:31彼らの目が開けて、それがイエスであることがわかった。すると、み姿が見えなくなった。
24:32彼らは互に言った、「道々お話しになったとき、また聖書を説き明してくださったとき、お互の心が内に燃えたではないか」。
24:33そして、すぐに立ってエルサレムに帰って見ると、十一弟子とその仲間が集まっていて、
24:34「主は、ほんとうによみがえって、シモンに現れなさった」と言っていた。
24:35そこでふたりの者は、途中であったことや、パンをおさきになる様子でイエスだとわかったことなどを話した。