蕩子(放蕩息子)の主日

ルカ79;15:11-32

11 (また)()へり、(ある)(ひと)(ふたり)()あり、
12 (その)()()(ちち)()へり、(ちち)よ、()()べき(さん)(げふ)(ぶん)(われ)(あた)へよ、(ちち)(その)(さん)(げふ)(かれ)()(わか)てり。
13 (いく)()()ざるに、()()(その)()たる(もの)(ことごと)(あつ)めて、(とほ)()(たび)(おこなひ)し、彼処(かしこ)放蕩(はうたう)(せい)(くわつ)して、(その)(さん)(げふ)(むだ)(づかひ)せり。
14 (ことごと)(つひや)ししに(およ)びて、(その)()(おほい)なる()(きん)(おこ)り、(かれ)(はじ)めて(とぼ)しきを(おぼ)えたり。
15 (すなはち)()きて、(その)()(ぢゅう)(みん)(ひとり)()()せたれば、(その)(ひと)(かれ)()(つかは)して(ぶた)()はしめたり。
16 (かれ)(ぶた)(くら)豆莢(まめがら)(もっ)て、(その)(はら)()たさんと(ほっ)したれども、(かれ)(あた)ふる(もの)なかりき。
17 (つひ)(みづか)(かへり)みて()へり、()(ちち)には幾何(いくばく)かの(やとひ)(びと)(かて)(あま)れるあるに、(われ)()ゑて(ほろ)ぶ。
18 ()ちて、()(ちち)()きて、(これ)()はん、(ちち)よ、(われ)(てん)(およ)(なんぢ)(まへ)(つみ)()たり、
19 (すで)(なんぢ)()(とな)へらるるに()へず、(われ)(なんぢ)(やとひ)(びと)(ひとり)(ごと)()せと。
20 (すなはち)()ちて、(その)(ちち)()けり。(なほ)(とほ)()りし(とき)(その)(ちち)(かれ)()(あはれ)み、(はし)(すす)みて、(その)(くび)(いだ)きて、(かれ)接吻(せっぷん)せり。
21 ()(これ)()へり、(ちち)よ、(われ)(てん)(およ)(なんぢ)(まへ)(つみ)()たり、(すで)(なんぢ)()(とな)へらるるに()へず。
22 (しか)れども(ちち)(その)(しょ)(ぼく)()へり、(もっと)(うるは)しき(ころも)(いだ)して、(かれ)()せよ、(ゆび)()(その)()に、(くつ)(その)(あし)(ほどこ)せ。
23 (かつ)()えたる(こうし)()きて、(これ)(ほふ)れ、(われ)()(くら)(たの)しまん。
24 (けだし)()()()()して(また)()き、(うし)はれて(また)()られたり。(ここ)(おい)(かれ)()(たの)しめり。
25 (たまたま)(その)(ちゃう)()()()りしが、(かへ)りて、(いへ)(ちか)づける(とき)(がく)(まひ)とを()きたれば、
26 (ひとり)(ぼく)()びて、()(なに)(ごと)ぞと()ひしに、
27 (かれ)()へり、(なんぢ)(おとうと)(きた)りしなり、(なんぢ)(ちち)は、(その)(つつが)なくして(かれ)()たるに()りて、()えたる(こうし)(ほふ)りたり。
28 (ちゃう)()(いか)りて、()るを(ほっ)せざりき。(その)(ちち)()でて、(かれ)(すす)めしに、
29 (かれ)(ちち)(こた)へて()へり、()よ、(われ)()(ねん)(なんぢ)(つか)へて、(いま)(かつ)(なんぢ)(めい)(たが)はざれども、(なんぢ)(いま)(かつ)小山羊(こやぎ)(われ)(あた)へて、(われ)(とも)(とも)(たの)しましめざりき。
30 (しか)るに()(なんぢ)()(あそびめ)(とも)(なんぢ)(さん)(げふ)(つひや)しし(もの)(きた)たりし(とき)は、(なんぢ)(かれ)(ため)()えたる(こうし)(ほふ)れり。
31 (ちち)(かれ)()へり、()よ、(なんぢ)(つね)(われ)(とも)()り、(われ)(ぞく)する(もの)(みな)(なんぢ)(ぞく)す。
32 (ただ)()(なんぢ)(おとうと)()して(また)()き、(うし)はれて、(また)()られたるが(ゆゑ)に、(われ)()(よろこ)(たの)しむべきなり。

口語

15:11また言われた、「ある人に、ふたりのむすこがあった。

15:12ところが、弟が父親に言った、『父よ、あなたの財産のうちでわたしがいただく分をください』。そこで、父はその身代をふたりに分けてやった。

15:13それから幾日もたたないうちに、弟は自分のものを全部とりまとめて遠い所へ行き、そこで放蕩に身を持ちくずして財産を使い果した。

15:14何もかも浪費してしまったのち、その地方にひどいききんがあったので、彼は食べることにも窮しはじめた。

15:15そこで、その地方のある住民のところに行って身を寄せたところが、その人は彼を畑にやって豚を飼わせた。

15:16彼は、豚の食べるいなご豆で腹を満たしたいと思うほどであったが、何もくれる人はなかった。

15:17そこで彼は本心に立ちかえって言った、『父のところには食物のあり余っている雇人が大ぜいいるのに、わたしはここで飢えて死のうとしている。

15:18立って、父のところへ帰って、こう言おう、父よ、わたしは天に対しても、あなたにむかっても、罪を犯しました。

15:19もう、あなたのむすこと呼ばれる資格はありません。どうぞ、雇人のひとり同様にしてください』。

15:20そこで立って、父のところへ出かけた。まだ遠く離れていたのに、父は彼をみとめ、哀れに思って走り寄り、その首をだいて接吻した。

15:21むすこは父に言った、『父よ、わたしは天に対しても、あなたにむかっても、罪を犯しました。もうあなたのむすこと呼ばれる資格はありません』。

15:22しかし父は僕たちに言いつけた、『さあ、早く、最上の着物を出してきてこの子に着せ、指輪を手にはめ、はきものを足にはかせなさい。

15:23また、肥えた子牛を引いてきてほふりなさい。食べて楽しもうではないか。

15:24このむすこが死んでいたのに生き返り、いなくなっていたのに見つかったのだから』。それから祝宴がはじまった。

15:25ところが、兄は畑にいたが、帰ってきて家に近づくと、音楽や踊りの音が聞えたので、

15:26ひとりの僕を呼んで、『いったい、これは何事なのか』と尋ねた。

15:27僕は答えた、『あなたのご兄弟がお帰りになりました。無事に迎えたというので、父上が肥えた子牛をほふらせなさったのです』。

15:28兄はおこって家にはいろうとしなかったので、父が出てきてなだめると、

15:29兄は父にむかって言った、『わたしは何か年もあなたに仕えて、一度でもあなたの言いつけにそむいたことはなかったのに、友だちと楽しむために子やぎ一匹も下さったことはありません。

15:30それだのに、遊女どもと一緒になって、あなたの身代を食いつぶしたこのあなたの子が帰ってくると、そのために肥えた子牛をほふりなさいました』。

15:31すると父は言った、『子よ、あなたはいつもわたしと一緒にいるし、またわたしのものは全部あなたのものだ。

15:32しかし、このあなたの弟は、死んでいたのに生き返り、いなくなっていたのに見つかったのだから、喜び祝うのはあたりまえである』」。