大斎第4主日
マルコ40端;9:17-31
17 民中の一人答へて曰へり、師よ、我瘖の鬼に憑られたる我が子を爾に攜へ来れり。
18 鬼は何処に彼を執ふとも、投げ仆し、彼沫を噴き、歯を切み、体枯る、我爾の門徒に之を逐ひ出ださんことを請ひたれども、彼等能はざりき。
19 イイスス彼に答へて曰く、噫信なき世や、我何時までか爾等と偕に在らん、何時までか爾等を忍ばん、彼を我が許に攜へ来れ。
20 乃彼を攜へ来れり、彼イイススを見れば、鬼忽彼を拘攣させ、彼地に仆れ輾びて沫を噴けり。
21 イイスス其父に問へり、彼に斯く為りしは何の時よりか。曰へり、幼き時よりなり。
22 鬼は彼を滅さん為に、屡火に又水に投じたり。爾若し何をか能せば、我等を憫みて、我等を助けよ。
23 イイスス之に謂へり、爾若し幾何か信ずることを能せば、信ずる者には能せざることなし。
24 童子の父直に涙を垂れて、呼びて曰へり、主よ、我信ず、我が不信を助けよ。
25 イイスス民の趨せ集るを見て、汚鬼を禁めて、之に謂へり、瘖にして聾なる鬼よ、我爾に命ず、彼より出でて、再彼に入る勿れ。
26 鬼号びて、甚しく彼を拘攣させて出でたり、彼は死せし者の若くなりて、多くの者彼死せりと云ふに至れり。
27 イイスス其手を執りて、彼を起したれば、彼即立てり。
28 イイスス家に入りし時、其門徒私に彼に問へり、我等が之を逐ひ出だす能はざりしは何の故ぞ。
29 彼曰へり、祈祷と斎とに由らざれば、此の類は出づるを得ざるなり。
30 彼等彼処を出でて、ガリレヤを過ぐ、彼は人の之を知らんことを欲せざりき。
31 蓋其門徒に教へて、人の子には人々の手に付され、人々彼を殺し、殺されて後彼第三日に復活せんと曰へり。
口語
9:17群衆のひとりが答えた、「先生、おしの霊につかれているわたしのむすこを、こちらに連れて参りました。
9:18霊がこのむすこにとりつきますと、どこででも彼を引き倒し、それから彼はあわを吹き、歯をくいしばり、からだをこわばらせてしまいます。それでお弟子たちに、この霊を追い出してくださるように願いましたが、できませんでした」。
9:19イエスは答えて言われた、「ああ、なんという不信仰な時代であろう。いつまで、わたしはあなたがたと一緒におられようか。いつまで、あなたがたに我慢ができようか。その子をわたしの所に連れてきなさい」。
9:20そこで人々は、その子をみもとに連れてきた。霊がイエスを見るや否や、その子をひきつけさせたので、子は地に倒れ、あわを吹きながらころげまわった。
9:21そこで、イエスが父親に「いつごろから、こんなになったのか」と尋ねられると、父親は答えた、「幼い時からです。
9:22霊はたびたび、この子を火の中、水の中に投げ入れて、殺そうとしました。しかしできますれば、わたしどもをあわれんでお助けください」。
9:23イエスは彼に言われた、「もしできれば、と言うのか。信ずる者には、どんな事でもできる」。
9:24その子の父親はすぐ叫んで言った、「信じます。不信仰なわたしを、お助けください」。
9:25イエスは群衆が駆け寄って来るのをごらんになって、けがれた霊をしかって言われた、「おしとつんぼの霊よ、わたしがおまえに命じる。この子から出て行け。二度と、はいって来るな」。
9:26すると霊は叫び声をあげ、激しく引きつけさせて出て行った。その子は死人のようになったので、多くの人は、死んだのだと言った。
9:27しかし、イエスが手を取って起されると、その子は立ち上がった。
9:28家にはいられたとき、弟子たちはひそかにお尋ねした、「わたしたちは、どうして霊を追い出せなかったのですか」。
9:29すると、イエスは言われた、「このたぐいは、祈によらなければ、どうしても追い出すことはできない」。
9:30それから彼らはそこを立ち去り、ガリラヤをとおって行ったが、イエスは人に気づかれるのを好まれなかった。
9:31それは、イエスが弟子たちに教えて、「人の子は人々の手にわたされ、彼らに殺され、殺されてから三日の後によみがえるであろう」と言っておられたからである。