聖枝祭主日
イオアン41端;12:1-18
1 逾越節の前六日、イイスス ワィファニヤに来れり、即ラザリ嘗て死して彼が死より復活せしめし者の居る所なり。
2 彼処に於て彼の為に晩餐を設けたり、マルファ供事し、ラザリは彼と偕に席坐せし者の一たり。
3 マリヤは純良なるナルドの価貴き香膏一斤を執りて、イイススの足に膏り、己の髪を以て其足を拭へり、家は香膏の香気に満たされたり。
4 其門徒の一、シモンの子イウダ イスカリオト、即彼を売らんとする者曰く、
5 何ぞ、此の香膏を銀三百に售りて、貧しき者に施さざりし。
6 彼の之を言ひしは、貧しき者を慮る為に非ず、即窃者たるに因りてなり。彼は金匣を持ち、其内に蔵めたる者を攜へたり。
7 イイスス曰へり、彼を舎け、彼は我が葬の日の為に此を貯へたり。
8 蓋貧しき者は常に爾等と偕にす、我は常に爾曹と偕にするにあらず。
9 イウデヤの衆くの民は彼の彼処に在るを知りて、独イイススの為のみならず、乃其死より復活せしめしラザリをも見ん為に来れり。
10 司祭諸長はラザリをも殺さん事を謀りたり、
11 蓋彼の故に因りて、多くのイウデヤ人往きて、イイススを信ぜり。
12 明日、節筵の為に来りし衆くの民は、イイススのイエルサリムに来るを聞きて、
13 椶櫚の枝を取り、出でて彼を迎へ、呼びて曰へり、オサンナ、主の名に因りて来るイズライリの王は祝福せらる。
14 イイスス小驢を獲て、之に乗れり、録されしが如し、云く、
15 シオンの女よ、懼るる勿れ、視よ、爾の王は小驢に乗りて臨むと。
16 彼の門徒は初此を暁らざりき、然れどもイイススの栄せられし後、此の事の彼を指して録され、且之を彼に行ひしを憶ひ起せり。
17 先にイイススと偕に在りし民は、彼がラザリを墓より呼び出して、之を死より復活せしめし事を証せり。
18 此に縁りて民は彼を迎へたり、蓋彼が此の奇蹟を行ひしを聞けり。
口語
12:1過越の祭の六日まえに、イエスはベタニヤに行かれた。そこは、イエスが死人の中からよみがえらせたラザロのいた所である。
12:2イエスのためにそこで夕食の用意がされ、マルタは給仕をしていた。イエスと一緒に食卓についていた者のうちに、ラザロも加わっていた。
12:3その時、マリヤは高価で純粋なナルドの香油一斤を持ってきて、イエスの足にぬり、自分の髪の毛でそれをふいた。すると、香油のかおりが家にいっぱいになった。
12:4弟子のひとりで、イエスを裏切ろうとしていたイスカリオテのユダが言った、
12:5「なぜこの香油を三百デナリに売って、貧しい人たちに、施さなかったのか」。
12:6彼がこう言ったのは、貧しい人たちに対する思いやりがあったからではなく、自分が盗人であり、財布を預かっていて、その中身をごまかしていたからであった。
12:7イエスは言われた、「この女のするままにさせておきなさい。わたしの葬りの日のために、それをとっておいたのだから。
12:8貧しい人たちはいつもあなたがたと共にいるが、わたしはいつも共にいるわけではない」。
12:9大ぜいのユダヤ人たちが、そこにイエスのおられるのを知って、押しよせてきた。それはイエスに会うためだけではなく、イエスが死人のなかから、よみがえらせたラザロを見るためでもあった。
12:10そこで祭司長たちは、ラザロも殺そうと相談した。
12:11それは、ラザロのことで、多くのユダヤ人が彼らを離れ去って、イエスを信じるに至ったからである。
12:12その翌日、祭にきていた大ぜいの群衆は、イエスがエルサレムにこられると聞いて、
12:13しゅろの枝を手にとり、迎えに出て行った。そして叫んだ、「ホサナ、主の御名によってきたる者に祝福あれ、イスラエルの王に」。
12:14イエスは、ろばの子を見つけて、その上に乗られた。それは
12:15「シオンの娘よ、恐れるな。見よ、あなたの王がろばの子に乗っておいでになる」と書いてあるとおりであった。
12:16弟子たちは初めにはこのことを悟らなかったが、イエスが栄光を受けられた時に、このことがイエスについて書かれてあり、またそのとおりに、人々がイエスに対してしたのだということを、思い起した。
12:17また、イエスがラザロを墓から呼び出して、死人の中からよみがえらせたとき、イエスと一緒にいた群衆が、そのあかしをした。
12:18群衆がイエスを迎えに出たのは、イエスがこのようなしるしを行われたことを、聞いていたからである。